第三十一回 海と海洋と海域
水産ビジネスの組み立てにおいて、「両軸の関係性」「相互補完のモデル」というキーワードが大切になる。
かみ砕いて表すと、「輸出・輸入できる環境が整う場所」という事であり、それは「産地であり消費地である」とう言葉にも置き換えられる。
極端な例の方が分かりやすいが、カンボジアでは甘エビ・サケは獲れない、カナダでは多く獲れる。
どっちがいい?カナダにしよう。といった考え方においても進出すべきエリアが絞られる。
あえて本書では抜粋版を空欄掲載するが、〇×式で下記を埋めることで方向性を決めていった。
もう少し深堀して解説すると、水産物の産地といっても非常に世界は広い、日本もさることながら北米も南米もヨーロッパも産地といえば、産地になる。
ではなぜカナダバンクーバーなのか。理由を大別すると、「海域・地理・文化」の3点がキーワードになるだろうか。
まずは1つ目の海域に関してお伝えしたい。
幼稚園から始まった「疋田拓也と魚の歴史」については先述通りではあるが、大学時代においても築地・豊洲時代においても、一貫して自分がこれまで学んできた魚は太平洋に生息する魚種が中心であったこと。
インド洋にも大西洋にも似たような魚種は生息しているが、やはりここ数十年取り扱いをしてきた太平洋魚種には明るいこと。
その知識を生かしながら、事業運営をしていくことが企業としての一つの差別化に繋がる。
その点、カナダバンクーバーやアメリカシアトル、サンフランシスコ、ロサンゼルスといった北米海域の優位性は高い。
翻って、南アメリカに関してはペルー・チリ等の海域も魅力的な部分は多いが、治安面や距離、つまり「日本との距離」を指すが、それを視野に入れると課題感が生じる。
補足として、上記にて太平洋魚種として説明した内容に関してだが、自分が詳しいのは太平洋の中でも「北半球海域」に限定される。
やはり南半球には南半球の独自生態系が存在し、「知識の互換性」は東の日本と西の北米よりは低いと見積もった。