第三十回 絡まる要素

魚を輸出するという観点においても、どの魚をどう発信していくのか、迷いと不安が生じてしまい、地域の美味しいものではなく、「日本で売れているもの」=「日本で既にコモディティ化が進んでいる商品」を販売促進してしまう傾向が強いように感じる理由はここにある。

「世界に築地を売りに行く」この考えを改善し、問題点を洗い直す。

 

では2018年12月に進出すると決めた国が、なぜカナダなのか。

その点について、地域性や生態系及び商機といった解説を深めていく事にしよう。

まずは先述通り、私自身が家族ある身である為、妻子に危険が及ぶ地域や衛生環境が過酷過ぎる地域は向かない。

ここで数十各国の選択肢は消える。

数年前から流行っている「クオリティオブライフ」という言葉ではないが、仕事=魚=夢=人生という私にとっては「家族の時間」「家族の成長」という要素は大きい。

 

次に水産ビジネスの組み立てにおいて、「両軸の関係性」「相互補完のモデル」というキーワードが大切になる。

かみ砕いて表すと、「輸出・輸入できる環境が整う場所」という事であり、それは「産地であり消費地である」とう言葉にも置き換えられる。

極端な例の方が分かりやすいが、「カンボジアでは甘エビ・サケは獲れない」が、「カナダでは多く獲れる」。

どっちがいい?カナダにしよう。

といった考え方においても進出すべきエリアが絞られる。

「衛生環境」「教育環境」「産地環境」「消費地環境」を考えていきながら、東アジア・東南アジア・西アジア・・・各国エリアを精査していく。

全ての情報が手元にあるわけではない為、それ以前より各国大使館との連携関係を整えていたことは、ここでも大いに役立つことになった。